「もう誰のことか分かってるんでしょ?」
「あぁ、当たり前だ…」
そんなことする奴なんて…
───………愛咲しかいない。
「だけど、俺…」
「隼斗、大切なものはね、失ってからじゃ遅いの。
あなたが一番それを分かってるんじゃないの?」
母さんはいつになく真剣な顔して俺を見つめる。
確かに俺は愛咲を失って毎日が楽しくなくなって、もうどうでもいいと思うようになった。
でも……母さんたちの夢は?
長年の夢なんだろ?
「今すぐに行けば、
まだ家にいるから間に合うわ」
「は…?それってどういうことだよ」
「愛咲ちゃん…今日アメリカに発つのよ…」



