「母さん本当に気づいてた」
「だから?」
それがいまさらなんだというんだ?
母さんの言いたいことがよく分からない。
「だけどね、それが隼斗のためと思って言わなかった」
「それこの前も聞いた」
母さんはいったい俺に何が言いたいんだ?
「でもね…ある子に言われたのよ…」
ある子…?
「隼斗は無理してます。
だから、せめてお母さんのではありのままでいさせてあげてくださいって頭下げてお願いされちゃって……」
そのときの状況を思い出しているのか、
母さんの表情は切なげで悲しそうに遠くを見つめていた。
「その時に気づいたの。私は何してるのって…
隼斗のためと思っていたことは全部隼斗にのとっては重荷だったんじゃないかって」
母さんは空気が抜けたような力ない笑みを俺に向けた。