「俺も…」



“好き”

“大好き”

“愛してる”


なんて、愛情を表現する言葉なんてひとつも言わないで、彼女がくれた言葉に対して同意の言葉を並べるだけ。


結局、現実から目を背けて
ずっと逃げ続けているんだ。


からだが雪乃のバニラの甘い香りに包まれる。


柔軟剤の優しい香りがする愛咲とは真逆の匂い…。



どうしても無意識に比べてしまう。


追い出そうとすればするほど、思い出して
胸がズキズキと痛くなって、結局忘れられないまま。


いつになったら
俺は雪乃を好きになれるんだ?


どんなに好きになろうとしても

いいところを探してみても

全部…ダメだった……。