それがたとえ、これが夢だったとしても…。


恐る恐る目を覚ますと、
そこに愛咲の姿も誰の姿もなかった。



「やっぱり…夢だったのか…」



ふと、自分の唇に手をやる。


幸せな夢だった。


だけど、思い出すと胸が
苦しくなるほど悲しくもなる残酷な夢。



「隼斗くんっ!!」



とたんにギュッと抱きしめられる体。

泣いていたのか目が
真っ赤に腫れている雪乃。



「ごめんな…雪乃」



心配かけちまったな。
俺はコイツを大事にしなきゃいけないのに。


頭ではそう分かっているのに
心は思うようには動いてくれない。



「よかった…」


「うん…」


「好きだよ…隼斗くん。大好き」



何回も聞いたそんな愛の言葉に
俺はいつか本気で応えられる日がくるのだろうか。