「愛咲ちゃん…」
病室を出てすぐあたしの前に現れたのは、
悲しい表情を浮かべた香織さんだった。
「こんにちは…香織さん」
あたしは香織さんに
向かって軽くお辞儀をした。
「愛咲ちゃん…ごめんね」
どうして香織さんが謝るの?
なんで、みんなあたしに謝るの?
「ごめんなんて…とんでもないです」
全部あたしが悪いのに……っ。
なんで謝るの?
謝られると無性に泣きたくなる。
すべてを思い出してしまうから。
「私があの時、隼斗の頼みを止めていたら
愛咲ちゃんはこんな想いしなくて済んだのに…」
香織さんは申し訳なさそうに眉を下げた。
香織さんの瞳はあたしが隼斗に“好きかも”と言ったときの隼斗の瞳とよく似ていた。



