「ごめんね…勝手に。
でも、どうしてもあたしのファーストキスは
隼斗がよかったの……」
隼斗に届いているはずもないあたしの声。
だからこそ、本音を言うことができた。
一生に一度しか
経験することの出来ないファーストキス。
次は名前が変わってセカンドキスになる。
きっとファーストキスって
大人になっても覚えてると思うんだ。
そんな大切なキスを
あたしは…キミとしたかったの。
ごめんね……
こんなワガママを勝手にしちゃって。
だけど、もうこれで満足だよ。
あたしはもうこれだけで生きていける。
キミがそばにいなくても…
隼斗との思い出だけを胸に過ごしていくよ。
…だから、キミへの想いは
この街に置いていく。
キスっていうのはきっと甘いお菓子のような味なのにあたしのファーストキスは涙のしょっぱい味がした。



