きっと…これで良かったんだ…


誰も傷つかない。

誰も損しない。



我慢するのは俺だけで十分なんだ。
愛咲は俺のことなんてすぐに忘れる。


そうしたら、
俺も忘れられる日がくるのかな?



「お兄ちゃーん」



ノックもしないで人の部屋に
ズカズカと入ってくるのは俺の妹、香鈴。



「……んだよ」


「はい、これあげるー」



香鈴が俺に前に差し出したのは淡い水色の紙袋。



「なんだよ…これ」


「えーっとね…いつものお礼ってことであげる」



そういうと、慌てたように部屋から出ていった。


明らかにおかしい。
いつもはお礼なんてしてこないのに…


部屋入ったら必ず30分以上は
長居するのに今日はそそくさと出ていくし。