ただ……あんなにも頑張っていた
愛咲の努力を無駄にしたくなくて。
今にも泣きそうな彼女を喜ばせたくて……
『俺に任せとけ、愛咲』
なんて、言葉が口から出ていた。
そう思うと、みるみるとやる気が湧いてきて
前のヤツをどんどん抜いていってついには一位でゴールした。
周りから歓声が湧き上がる。
みんな俺のように寄ってくる。
それは素直に嬉しかったけど
気になるのはやっぱり愛咲のことだった。
転けたところは大丈夫なのかとか一人で泣いていないか…そんなこともう俺には関係ないのに。
俺が愛咲を突き放したくせに……。
俺はどこまでも卑怯な男なんだよ。
俺は結局、愛咲を保健室に連れていき、手当てをした。



