それからたまに公園を通るといつも愛咲がいた。
俺はそれを見るだけで不思議と気持ちが少し楽になった。
時は過ぎ、体育祭当日。
俺が出るのは
借り物競走と全員リレーと選抜リレー。
借り物競走になり、俺はスタンバイする。
パンッ!と合図があった瞬間、
みんな一斉に紙に向かって走り出す。
その中の一つを手に取り、開いた。
そこに書かれていたのは、
『好きな人』
なんでよりによってこのお題なわけ……?
真っ先に頭に浮かんだのは、愛咲。
無意識に愛咲の方を見ていたらしく、
バッチリと目が合ってしまった。
慌てて逸らしたけど大丈夫だったかな。
いま、俺が行かなきゃいけないのは、
愛咲のもとじゃなく、雪乃のところ。
俺は周りを見渡して雪乃を探した。



