でも、そういう意味じゃねぇんだよな。
俺にとっては大事な頼み事。
俺の将来に残されたの選択は、
政略結婚をするという選択だけだった。
俺がどんなに好きでも愛咲は俺には振り向かない。
だけど、最後に俺にチャンスをください。
『藤沢愛咲と……
半年間同居させてください』
無謀な頼みだと分かっていた。
こんなのうちの両親が許すはずないと。
『お前、そんなことが許されると思っているのか?』
ほらな……?
だけど、これだけはもう譲れないんだ。
俺が愛咲の大事な人にならないなら……
いずれ、他の男の手に愛咲が渡ってしまうのなら……
せめて、思い出だけでもいいからほしいんだ。
これから俺が生きていくために、生涯、忘れられることの出来ない、特別な思い出が。



