確かに考えたら財閥の一人息子は
政略結婚するのが一般的なのだろう。
だから、勘のいい宇都宮くんはそれに気づいた。
「私も半年前に香織さんからこの話を聞いたときは正直ビックリしちゃった。
だって、隼斗くんが好きなのは愛咲なのに…って思っていたから」
「えっ、ママ知ってたの?」
「当たり前じゃない。
ちっちゃい時から隼斗くんはあんたにだけイジワルな顔して笑ってたじゃない」
ママって抜けてそうなのに、意外と鋭いんだな…。
「でもね、隼斗くんは
ずっとその結婚を断ってたのよ。
でも、半年前お父さんにカミナリ落とされたみたいで、そこから自分なりに考えて結論を出したの」
隼斗はずっとあたしを想っていてくれたの?
小さい頃からずっーと……?
だから、決められた結婚も断り続けてくれてたの?
「半年前のあの日の前日に香織さんに頼まれたの。
“半年間だけ隼斗と愛咲ちゃんを同居させてほしい”ってね。」
あの同居の話は隼斗が持ち掛けたってこと?
だからあのとき、隼斗は何も驚きもせずにいたんだ。



