知らない間にこんなに好きになってた。
好きで好きで仕方なくて、もうキミを好きじゃなかった頃の自分になんて戻れないよ。
───…お前のためなら何万回だって頭ぐらい下げてやるよ
同居が女の子にバレてしまったあのとき隼斗はあたしにそういったんだ。
今思えば、キミからの優しさに
あたしはたくさん触れていたんだね。
いつも、さりげなく歩道側を歩いてくれたり
迷子にならないように手を繋いでくれたり
テスト勉強を教えてくれたり……
いつだってキミは
あたしを一番に考えていてくれた。
なのに、あたしはそれが当たり前になっていて隼斗の大切さに全然気づいていなかった。
いまさら気づいても、もう遅いのに。
堪えきれなくなった涙がポタポタと冷たい床に落ちて灰色の丸いシミをつくる。



