ねえ、隼斗は今どんな気持ちでどんな顔をしているの?



「俺に頼むんじゃなくてお前がしてやれば?」



宇都宮くんは隼斗に冷たくそう言い放つ。


あたしは二人の様子が気になって
少しだけ扉を静かに開けた。


すると、体育館の真ん中に
二人が向かい合って話していた。



「俺じゃ……俺じゃダメなんだよ。

俺じゃ…アイツは幸せにすることができない。
昔から、ずっと俺が幸せにするって思ってた。
だけど、それは叶わぬ夢だったんだよ」



どういう意味…?

叶わぬ夢って…?

あたしは、隼斗が好きなのに。


それだけじゃ……ダメなの?



「それって……笹原さんが好きだから?」



智也くんが尋ねると、
隼斗は切なげに顔を歪ませた。



「……とにかく、こんなこと
頼めるのはお前だけなんだよ…っ!!」


「…なんで俺なんだよ」


「お前なら任せられる、んだよ」


「任せられるってなんなんだよ…!」




宇都宮くんは声を荒らげて
隼斗の胸ぐらを勢いよくグッと掴んだ。