「何よ~、二人して謝っちゃって。
それより、今日はホントにビックリすることがいっぱいあったなぁ~…」



雪ちゃんは一人で言葉を続ける。



「だって、借り物競走で隼斗くんが来てくれたんだもん。
しかも、お題は“好きな人”だよ?
もー、嬉しかったけどビックリしちゃったっ!」



頬を赤らめて嬉しそうに笑った雪ちゃん。


じゃあ……二人は両想いってこと?


やっぱりそうだったんだ。
あたしのイヤな勘は当たっていたんだ。



分かっていたことなのに、
本人の口から聞いたからなのか目頭が熱くなる。



「そ、そうなんだっ!
よかったじゃん!隼斗!両想いでっ!!
じゃあ、てことは今あたしはお邪魔だよね!ごめんね!」



涙がこぼれ落ちそうなのをを隠すために
必死に笑いながら、保健室から出た。


保健室から出て、数歩、歩いたところであたしはもう限界だった。



「うっ…なんで…っ」



あたしの気持ちは報われない。

最初から分かっていたのに、
どうしてこんなに苦しいのよ…っ。


隼斗…好きだよ。大好き。
だけどもう期待させないで。


雪ちゃんが好きならもう優しくしないで。

優しくされたら
ひとりじめしたくなっちゃうから。