コットンでチョンチョンと傷の周りを拭く。



「いっ...!!もっと優しくしてよーっ!!このバカッ!」



そういってあたしは隼斗の頭をバシッと軽く叩いた。



「お前にバカとか言われたくねぇわ……アホ」


「うっさいな!!さっさとしてよね!」


「お前が文句ばっかり言うから遅くなるんだろ?」


「はいはいっ、そうですかっ!」



いつもならムカついているはずなのに、不思議とあたしの心は嬉しさと幸せでいっぱいだった。


また、こうやって隼斗と何気ないことで言い合えるなんて思ってなかったから。



「あ…藤沢さん、よく頑張ったな。
なんか走るの早くなってたからビックリした」



そんなことを言いながら
あたしの大好きな笑顔でそっと頭を撫でてた。


隼斗にそう言われると、
やっぱり頑張ってよかったなって思うよ。


しかも、足が早くなったことにも気づいてくれていた。