「あり…藤沢さん…保健室に行こう」
リレーが終わると隼斗がこちらに来て
あたしの手を引いて保健室に向かって歩いていく。
なんでこんなことするの……?
もう関わらないでって言ったのはそっちじゃん。
どうしてまたそんな期待させるようなことするの?
そんなことを思っていながらも口にはしない。
だって、それは隼斗には関係の無いことなんだから。
だから、あたしは黙って隼斗について行った。
もう触れられないと思っていたキミの優しさにまた触れられた。
それが、嬉しかったけど同時に悲しくもあった。
だって、この優しさを独り占めできるのは雪ちゃんだから。
あたしなんておまけに過ぎない。
隼斗は意地悪だけど本当は優しいから……。
「怪我したとこ見せて…」
保健室に入ると、保健室特有のツンとする消毒の匂いがした。



