「残念ね~…、
パパと過ごす計画はなしか…」



ママが悲しそうに眉を八の字に下げて言う。
さっきとはまるで180度違うテンションに胸が痛くなる。


ママはパパと会えることを一番楽しみにしてる。


たまに、夜一人でお酒を飲んでパパの名前を呼んで寂しそうに泣いていたりするのもあたしは知ってるの。


きっと、パパも楽しみにしてるよね…?


なら、あたしは……



「はぁ…わかった。住むから、
ママはパパの所に行ってきて」



あたしがしぶしぶそういうと、

ママの顔はまるで
花が咲いたようにパァっと明るくなって



「ほんとに!?じゃあ今から行ってくるわね♪
お金は机の上に置いてあるからね~
じゃあ、香織さん行きましょう♪」



「えぇ、菜奈さんよかったわね。
じゃあ隼斗、ちゃんと守ってね。
愛咲ちゃん、こんな息子をよろしくね」



そういうと、ママたち二人は
上機嫌で出ていってしまった。


香織さんというのは隼斗のママのことで
菜奈さんというのはあたしのママ。