「あ……雪乃、来て」



隼斗が手を差し出したのは
あたしの後ろにいた雪ちゃんだった。


一瞬、隼斗があたしを見たような気がするのはやっぱり気のせいなのかな?


分かってたはずなのに……


隼斗の好きな人はあたしじゃなくて雪ちゃんだって。


なのに、どんどん涙で視界が歪んでいく。
ちょっとだけ期待してたから余計辛かった。


人ってなんで根拠もないのに期待しちゃうんだろう。


本当にバカみたい。


あたしのところになんて来るはずないのに。
こんなに隼斗が好きで好きで……なのに辛いよ。



雪ちゃんが羨ましい。


少し前までそこに
あたしがいたのになぁ……。


そんな黒い感情が心にフツフツと湧き上がってくる。


こんなふうに雪ちゃんに嫉妬している自分が嫌だ。


雪ちゃんは何一つ悪くないのに。

全部、あたしが自分の気持ちに素直になれなかったのが悪いのに。