隼斗……なにを引くんだろうな。
そんなことを考えながら目的の彼だけを見つめる。
隼斗は紙を見て一瞬、顔を切なげに歪ませたように見えた。
もしかして…好きな人とかだったりする?
ドクンドクンと大きな音を立てて騒ぎ出す鼓動。
あたしは緊張しながら隼斗をじっと見つめていると、バチッと目が合った。
や、ヤバッ……!!
そして、隼斗がこっちに向って走ってきた。
もしかして………?
「ヤバイヤバイっ!こっちくるよ!」
さっきの女子がまたもや騒いでいる。
あたしの鼓動も彼女たちと同じくらい騒いでいる。
隼斗がどんどんこちらに近づいてくる。
そのたびに淡い期待が膨らんでいく。
もしかしたら……
あたしを選んでくれるかもしれない。
この前のことは全部ウソで隼斗に微笑んでくれるかもしれない。
そんなありえない期待を嫌でもしてしまう。
だけど、隼斗はそのままあたしの横をスッと通り過ぎた。