言うつもりなんてサラサラなかったのに、隼斗が離れて行くのがイヤでどうしても引き止めたくて…。
隼斗は一瞬、驚いた表情をしたけど
すぐに元の冷たい表情に戻った。
「ウソだ…」
「本当だよ…」
少しだけ……期待していた。
このままあたしを抱きしめて
ずっと離さないでいてくれることを。
なのに……
「もう、おせぇんだよ…」
彼は悲しげに顔を歪ましながら
ぽつりと吐き捨てるようにそう言った。
「えっ？」
遅い……？
それってどういうこと？
「俺、雪乃のこと……好きだから」
「だから……」
「もう俺とは関わんな」
彼の口からでた言葉はとても信じられるものではなくて、胸が鋭利な刃物でグサグサに引き裂かれたように痛くて、うまく息ができないほど苦しくなった。
