「なに?」



どうしてもキツい言い方になってしまう。


もう怒ってないのに、
本当は隼斗と早く仲直りしたいのに。


素直に“ごめんね”って言えないあたしは
ほんとに意気地無しで最悪な女だ。



「……帰んぞ」



彼はそれだけいうと、あたしが取ろうとしていたスクールバックをスッと持つと、そのままスタスタと教室から出ていってしまった。


あのカバン教科書がたくさん入ってるから重いのに…。それに加えて自分のカバンまであるのに。


喧嘩した時は昔から必ずと言っていいほど、先に謝ってくれたのは隼斗。


あたしは昔からなかなか素直になれなくて
悪いと思っていても謝ることが出来なかった。


それなのに……


ねぇ、なんでそんなに優しくしてくれるの?


あたしは置いていかれないように急いで
隼斗を追いかけようと教室から出た瞬間


ぐいっ、と腕をつかまれて体が引き寄せられた。