ひと月の妹


『僕と君と海へ』

君は海に来ていた。

もちろん彼と君

僕は風景写真担当の友人に連れられ海に来たのに・・・

君は彼と並んでただ座って話をしていた。

(ただの幼馴染に見えるのに・・・)

「初めから失恋おめでとう!」

友人は僕に缶ジュースをくれた。

美人は眺めているだけでも充分いいんだ

遠くから僕は眺めているだけでも満足だった。

その海で君の後ろ姿を見ながら君の声を初めて聞いた。

君を見ながら僕は君の声の録音を聞いていた。

  
「彼女、綺麗な声だな」

「それ、おまえにやるよ」

「いいのか?」

授業中、彼女は長い詩を朗読させられていた。

友人は家に戻れば共学に通う親戚の男子がいた。

彼女は美人で人気なのだ。

もちろん彼が君臨しているので、

誰も声を掛けることはないけれど・・

僕らは共学男子からも気の毒がられていた。

学校で寮生活でおかしな校則に・・・

だから友人経由でくれたのだ。

女の子が詩を朗読している声の録音ぐらい

それを聞いてもおかしくはないだろう?

  
大人になった僕は彼女の手を繋ぎ

この海に一緒に来ている。