ひと月の妹



一人で飛行機に乗って窓から見える空にさよならを言って

両手にはめられている指輪に視線を戻した。

人目もはばからず空港まで見送ってくれて

ギリギリまでわたしを抱きしめている圭さん

「本当は帰したくないよ・・・」

また会う約束をして 私たちはやっと離れた。


「これじゃぁ、ただの恋人同士だよね・・」


私を温める圭さんは、いつだって優しくて

甘やかして、わたしを大事にしてくれる。


私の全身に赤い色で花を咲かせたのだって

所有欲ではなくて、わたしが傷ついていたから・・ 


「僕のお姫さまは、傷ついて、黙って氷の国に入国するから

向こうは全身が真っ白な人じゃないと追い出されるんだよ。」


「君は全身そんなに赤くて、残念だけど、

お城にも入ることは出来ないね」


右手の指から指輪を一つ消してもあの人は

わたしの凍えた心を温めるのが

上手で笑わせてくれて慰めてくれる。


右手の指にも結局、指輪を二つ買ってくれた後、

指にはめてくれて両手さえも圭さんで一杯にされた。


機上中、わたしは両手の指輪をずっと眺めていた。