まだ話し足りなさそうな 紫藤佳代子さんを置いて 部屋をでた。 将来の仕事のために 人に会う。 それは確かにそうなんだけど 前園崇(まえぞの たかし)さん 司さんの秘書だ。 わたしの目であり、耳でもあり、口でもある。 高校生の頃に彼の娘さんに輸血したのが縁で 恩義を感じて下さって今がある。 タクシーを捕まえ 目的地を告げた。 「×××病院へ」 流れる景色は木々を後ろに 運転手さんは、道を知っていて 思ったより スムーズに到着できそうだ。