もうすぐ自分の手を離れていくであろう
財閥の娘である佳澄
この関係が続けられないのに
断つことができない二人の関係
「キミは私が気に入っているのか? それとも
二人のこの行為だけが気に入っているのか?」
背中に這わす指に想いを込めながら
今は聞かずにはいられない気分だった。
昼間に見た美しすぎるあの男
『紫藤司』のことをひどく気にいった様子を見せた
佳澄に対して内心は怒りのようなものが渦巻いていた。
「あなたの事も気に入っているし、この関係も気に入っているわ」
「今日会った男とこれからのキミの未来について聞きたいね」
気取られぬように背中越しに囁いてみる。
「信也さんも見たでしょう!」
「あのように美しい男性が私のモノになるのよ。」
「予定だろ!」
クスリと笑ってみるが
彼女を大人にしたのは自分である。
