ひと月の妹


大人たちの打算(食事会の席で)


早乙女佳澄さんを紹介された。

彼女は秘書の佐藤という人を連れていた。

早乙女佳澄さんは、政略結婚に乗り気みたいだ・・

(お兄さん、人の頬を叩きましたよ?)

大人の二人はさきほどの会場での事を話していた。

「確かにひどく驚きはしましたわ。」

紫藤佳代子さんに早乙女佳澄さんは話をしていた。

「だけど、女性の頬を叩くのを紫藤司さまは、

実は、手加減をされていましたね。」

秘書の佐藤さんは男性の意見を挟んだ。

「佐藤、貴方もそう思いました。」

佳澄さんも肯いている。

(お兄さんへの印象は悪くならないみたい)

「見ていて細くて繊細で美しい綺麗な指先でしたのよ。」

(佳澄さんは、どうやら手フェチであるらしい)

お連れの秘書の佐藤さんもイケメンの部類で
 
その手もわりと美しいと思うよ。

彼女の人への判断基準が解る気はする。


漆黒の瞳の魔物は魔王さまクラスの魅力で

婚約者候補さまのハートをワイングラスの中へ
どうやら投げ込んだようだ。

(グラスの中身のハートは、回してもらえるのかな?)
(口をつけて飲んでもらえるのかな?)


お兄さま、この食事会を欠席でも何の問題もなさそう。


政略結婚は進む方向のようだ。