そんな笑いに一区切りがついたところで、壁にかかっている時計を何気なく確認すると、既に30分が経とうとしている頃だった。
「そろそろ戻りますか?」
冷静に考えてみればここは給湯室、誰が休憩しに来てもおかしくない。
最も、時間が時間だからその可能性は昼間よりも下がるわけで、だからこそ誰にも邪魔されずに今まで二人で話せていたんだろうけれど。
「俺に話したいことないの?」
「私は結構すっきりしてます。」
伝えたいことも聞きたかったことも十分消化できた、第一こうして彼の前でも素直に笑えているし。
が、一方の速水さんはまだ何か言いたげな様子。
「聞きますよ。」
微笑みながら首を傾げた。
すると彼は一泊置いて大きく息を「はぁっ」と吐く。
「速水さん、さっきもそうやってここ入る時ため息してましたよね。
ちょっとショックだったんですからね、私。」
2回目のそれを冗談交じりに指摘した。
指摘できるようになるほど、私は彼を心の距離近くに感じていたんだ。
「…市田のせいだろ。」
「なんで、私のせいなんですか?」
彼は一瞬ためらって、だけど気まずさそうに
「朝もここにきてたの、俺。」って。
「恥ずかしすぎる。」
彼がボソッとつぶやいた。
「朝?」
どういうことですか、また私は首をかしげる。
「…午前の8時もあり得るじゃん。」
後ろ髪を彼はせわしくかきながら
「お前、午前か午後かちゃんと書けよ。」
いじらしそうに言った。
「……え。」
それって、
心配になって朝、つまり午前8時にも給湯室来てたって…ことだよね?
わーっ、それは何というか、、
照れくさい……


