「速水さん……」
ありがとうってただ伝えたかっただけなのにな。
気づくの遅くなってごめんなさいって謝りたいだけ。
あなたの機嫌をうかがうために取り繕うとして言ったわけじゃない。
そんな理由で呼び出すわけないじゃん――
「速水さん、はやみさん…」
避けてたのは違うんだよ。
嫌いだからじゃないんだよ。
彼はふっと小さく笑いをこぼした。
「サンドイッチは明日の朝冷蔵庫入れとくから、好きなとき取りな。
お金は飲み会行けなかったお詫びってことで。」
そんな私の気も知らないで、
彼は掛け構いなく飲み終わったコップをあっさりとゴミ箱に手放した。
「早く帰れよ。」
速水さんは給湯室の扉に手をかけにいく。
ためらいもなく。
振り返らず。
1歩1歩ドアに向かうたび。
彼の背が小さくなった。
あーあ、行っちゃった。
また、当分話せなくなる、1か月半がまた来ちゃう。
長いなぁ、今は12月だから今度は2月になってるや…
「速水さん」
ぽつりとつぶやく。
違うね、今度は
「待ってください!」
無期限かもしんないね。
ぐいっと後ろ背の彼のスーツの裾を引っ張った、


