意地悪な片思い


 私は携帯を手に取る。

ううん、だめ。
携帯に連絡残したってまた返事くれないかもしんない。

私はデスクの引き出しに入れている長細いピンクの付箋を一枚めくった。しまった筆箱からボールペンを1本取り出す。

粘着力がある面に書いているから、
少し書きにくかった。

「市田、ほら俺帰るぞー。」
 長嶋さんがオフィスのドアから先に出て階段へと向かう。

「はーい、私も行きます!」
 ペンをしまいカバンを右腕にかけると、誰も見ていないことを確認して私はそっとパソコン画面右下にぺたりとくっつけた。


「うわぁ、階段からもう寒い。」

「だなー。」
 私の声が響いて、先に降りている長嶋さんにも聞こえたのか彼から返事が返ってくる。追いつくように私は急いで階段を降りた。

明後日―――、8日8時 給湯室。
心でそう一度だけつぶやいた。