それから約4時間経って、時計の針が7を差すようになった頃、トントンと私の背中を誰かが叩いた。
「…はい。」
長嶋さんだと勘ぐっていた私は内川くんで少し驚いた。
「お疲れさま、さっきはごめんね。
どうしたの?」
速水さんもそうだけど最近は内川くんとも親交を持つようになったから不思議。
人生って何があるか分かんない。
「連絡してくれました?」
陽気な彼が変に声の調子を抑えていた。
「……誰に?」
顔を緩めた彼が私にささやいてくる。
「先輩に。」
思い出したくないのに……。
彼が声を抑えているのは、遠いとはいえ席に速水さんが座っているからなのだろうか。
そうか否かは、この立てらかしたノートのせいで座っている私には分からないけど。
というか、
「内川くん、なんで私に速水さんの連絡先教えたの?」
金切り声で攻めたいところだが、我慢して声を抑えた。
「4人で飲むとき調整しやすいじゃないですか。」
……まあそうだけど。
「う、内川くんは長嶋さんに連絡したの?」
「したんです、したんです!
今度お昼休憩一緒にどうかって誘われちゃいました。」
揚々としてきた彼。
「よかったね。」
私は返事返ってきてない…。
ぐさっと内川くんに刃物でえぐられた感覚がした。


