意地悪な片思い


 次の日の土曜日、「えい!」という掛け声とともに彼の連絡先をアプリに追加した。それまで画面上にはなかった、新しい友達+1という文字が呑気に表示されるようになる。

分かったから、
もう表示してくれなくていいってば!

決まって現れるその文字を見るたび、どきっと私の胸が激しく鼓動するんだ。昨日までは何とも思わなかったその機能がとてもじゃないが嫌で仕方がない。


少し経って新しい友達の欄が消えると、
彼が入ってくるまでのアプリの様子に戻ったようで気が収まった。

だから調子に乗ってつーっとスクロールしちゃったのが余計なことだった。
もしかしたらいないのかもしれない、そう変な思い違いを起こすところが私のダメなところだ。


「う。」
はの欄に彼の名はやっぱり並んでいた。

面をくらった私は、がくっと頭を落とし携帯を机の上におく。

結局何をすることもなく、そのまま土曜日は追加するだけで一日を終えてしまった。