「ありがとうございました。」
元気な店員さんの掛け声の後押しと共に私たちは店を出る。
「大丈夫ですか?」
そう言って飲み過ぎを心配されているのは、長嶋さんではない。
「内川頼むな…
市田、歩いてたらその内酔い覚めてくるから。」
長嶋さんは私とは真反対の方向であることを悔やんでいるようだった。
「はい、ちゃんと送り届けます。」
内川くんは困り顔で私を見つめる。
「お疲れ様でした。」
ふらふらとした足取りで私は長嶋さんに別れを告げた。
頭がガンガンする、完全に飲み過ぎだ。
なにやってんだ、ばか。
顔をしかめながら私は頭を押さえた。
「辛かったら言ってくださいね、
ゆっくりで大丈夫ですから。」
隣でそう言ってくれる内川くんの優しい言葉がまた私を情けなくさせる。
2時間ほどあれから飲んで、
私はあまり記憶がない。
ただくだらない話を話して、聞いて、楽しい時間を過ごしたのだと思う。そうじゃなきゃこんなに飲むはずがない。
「気持ち悪い。」
やきやきしてきた胸のあたりをぎゃっと私は掴んだ。
「どっか座りますか?」
「ううん、大丈夫。本当にごめんね。」
いつの間に買ってくれていたのか、差し出してくれたペットボトルのお水を私は流し込む。


