「お待たせしましたー!」
間が悪いことに、さっきの店員さんとは別の人がテーブルに頼んだ注文を運んでくる。
忙しくなってきたのか、からあげ、サラダ、ポテトなどいつも以上にてきぱきと運び済ませてあっという間に去っていった。
「他なんかほしいものがあったら頼んでいいからな。」
長嶋さんが彼に優しく言い、
「ありがとうございます。」
にこりと笑った内川くんは本当に嬉しそうで、あどけない顔立ちが崩れさらに幼くなる。
おてしょうや、お箸、おしぼりを私は配り終わり、
「まあとりあえず乾杯するか。」
という長嶋さんの掛け声で私たちはお酒を手にもつ。真っ黄色の上にもくもくと白い雲がおいしそうに泡立っている。
速水さんには悪いけど、あとでまたもう一回したらいいよね。「かんぱーい」という二人の声と共に私はコツンとコップを合わせた。
「うめー!」
「うまいっすね、やっぱり!」
ハハハと彼らは笑いあう。私もごくりと一口含んで、ほほえましく彼らの様子を見守った。
「あ、で、速水先輩なんですけどね。」
「うん。」
「断られちゃって、さっき。」
渋そうな表情で内川くんは答えた。


