そのまま彼は私に背を向けると、何も言わないままコンビニにつながる道へ歩き出した。私は追わなかった、いや追えなかった。
彼の姿が見えなくなって数分後、パタパタという音と共に内川くんが目の前に現れた。
「すみません、遅くなっちゃって。
いやープリンかケーキかえっと迷っちゃって。」
彼は手に持っているコンビニ袋を晒しながら、ぶつぶつとひとりでに話を繰り広げる。
「あ、速水さんはもう帰るらしいので。」
「……え?」
「あぁ、市田さんは知らないのか。
速水さん僕がいると心配だからって決まってここまでついてくるんです。
自分は飲んだ日、電車で帰るくせに。」
電車って、駅はもうだいぶ前に―――
「優しい人ですよね、僕もああいう人になろうかな。そしたらもてちゃったりして。」
内川くんは無邪気に笑う。
「……。」
「市田さん?」
「本当、」
速水さんらしいね。
その先ちょっと行ったところで内川くんに別れを告げた。


