「本当速水さんってからかってばかりですね…。」
軽いというか緩いというか、どちらかというと遥の性格に近いのかもしれない。
「市田にだけね。」
「またからかい…。」
道端の小石を蹴った。
「よくわかんないなぁ。」
彼は笑うのをやめたようだった。
「からかってきたかと思えば変なところで優しい、かと思えばまた振り回す……。」
「あとは何?」
じっと私を見る彼の瞳にひるんでしまう。
それでも私は小さく口を開いた。10パーセントが勝ってしまったのかもしれない。
「……気もたせるようなことだって言ってくる。」
閑寂―――私たちの間に冷たい空気だけが通り過ぎる。
「俺のからかいが何か分からない?」
彼は足元にあった小石をけった。
「……分からないです。
いつも速水さんは今みたいに質問してくるばっかりで全然答えてくれないから。」
あの告白も、給湯室も、会議室でのことも。全部、ぜんぶ私をかき乱すばかりで。


