意地悪な片思い


「明日は、会社また出勤されるんですか?」
 区切りがついたところで、私は仕事の話題を振った。

「んーちょっとだけ。」

「木野さんのお手伝いですか?」
 帰る間際彼女から電話かかってきていたし…

「木野はたぶん出勤しないと思うけど、俺資料会社に置いてきたから確認してやんないと。」
 そっか、彼女結構大変そうな口ぶりだったもんな、電話の向こうで。

まぁ、速水さんと電話できて嬉しい!なんて感情も感じれなかったことはないけど。


「…木野のこと気にしてるの?」

「へ?あぁ、いやいや違いますよ。」
 お仕事のことちょっと聞いてみただけです。

「ならいいけど。」

「……木野さんとは何もないんでしょう?」
 だって。

「うん、ただの仕事仲間。」
 きっぱりと彼が断言する。

「不安に思うことがあったら何でも聞いておいでよ。
勝手にいろいろ考えて、避けるとかやめてね。」
 前、私たちが少しの間すれ違っていた時のことを彼は思い出したのか、私にそう言った。

「大丈夫です。」
 あの時は心をまだうまく開けていなかったけど、今は速水さんがどういう人か私はよく知っているから。何でも話せる気もするんだよ。

好き、以外。


「ならいいけど。」

「うん。」
 私は頷く。

「まぁ、でも……。」
 速水さんは何か言いかけて、そこで不自然に言葉を濁した。

「なんですか?」

「いや、なんでもない。」

「いいかけてそこでやめるとか卑怯ですよ。」
 私はぶつくされる。

「んー、いや。市田の方が心配だなって。」

「え?」
 速水さんじゃなくて、わたし?