意地悪な片思い


 どどどど、どうすればいい?
長嶋さんだった時のことを考えて、私隠れてた方がいいのかな?

箸を持ったまま立ち上がって、その場を右往左往してしまう。

とりあえず、寝室へお邪魔……。
そろーっと私は寝室の戸を開けて、数ミリ程度の隙間からリビングを覗き込む恰好を取った。


 遠耳でガチャリと速水さんが玄関を開ける音がする。何秒か経って、ぶつぶつと男の人の声が二つ聞こえてきた。

長嶋さん?違う人?ど、どっち?

そのうち玄関のガチャリという音がまた響いた。私はとうとうその時が来てしまうのかもしれないと、ぎゅっと目をつむる。

ガラッと寝室の扉が開いた。

速水さん…!

「市田。」

「はい。」
 私は顔を覆うようにしてる手をどけようと尚しない。

「なんでそんな隠れてんの?」
 頭上からクスッと笑う声が聞こえた。

「宅配だった。」

「へ?」
 渡された荷物がコツンと音を立てて、私の頭に落とされる。

「た、宅配?」

「んーそう。」
 速水さんはベッドの上にポーンとそいつを放り投げてリビングの方に戻った。

「はーびっくりした。長嶋さんだったらどうしようかと。」
 心臓に胸を当てながら、おずおずと彼に続く。

「あほ。」
 彼はくしゃっと私の髪をなで繰り回した。

「だって、びっくりしたんですもん。」

「うん、分かったから。おばかさん。」
 速水さんはポンと私の頭をまた撫でる。

あほの次はばからしい、笑われながら言われちゃったよ。