意地悪な片思い


 プシっと音を立てて開け、渡されたチューハイをコップに注ぐ。速水さんはビールをまず飲むみたいだ。

「なんかあれだね。」

「なんですか。」
 ごくっと私は一口お酒を飲んだ。

「市田がいるの変な感じ。」
 今更だけどって彼がハハハと笑った。

「今日は熱ないんですか。」

「ないね。
…あったほうがよかった?」

「ない方がいいに決まってます。」
 私は枝豆を口にくわえる。

「あったらまた泊まってくんじゃないの?」

「…もう意地悪しないでくださいよ。」
 からかってないで速水さんも枝豆食べなよと、私は彼のおてしょうに鷲掴みした枝豆を盛った。

まぁでも確かに彼の言う通り変な感じ、私もしてるよ。

「この間速水さん家にお邪魔させていただいたときは、長嶋さんと一緒でしたもんね。
今日は一人ですけど……」

「だね。長嶋はふら~っとたまに来るから全然なんとも思わないけどさ。」

「特に用事がない時でも長嶋さんいらっしゃるんですか?」

「うん、長嶋自由だから。」
 そうなんだ。

「市田のことも家来たときたまに話してたよ。」
 え、長嶋さんが?

「頑張り屋で優しいって。あ、お人好しとも言ってたかな。」
 …お人好しなんて言葉、優しい長嶋さんは使わないでしょうが。

「あの。」

「ん?」
 彼は枝豆を口にいれた。

「もしかしてそれが私のこと知ったきっかけだったんですか?」
 接点のない、隣の部署の私と。

「……さぁ。」
 さぁって。


ピンポーン

「え?」
「あれ?」

 と、突如そこで、会話をとぎるようにチャイムが鳴った。 
私と速水さんはパッと顔を合わせる。

「あの……長嶋さんなんてことは、ないですよね?」

「……さぁ。」
 さぁって。

 速水さんは玄関の方を伺いながらゆっくりと腰をあげ、扉へ向かった。