意地悪な片思い


 料理の最中に配膳は済ませていたので、「いただきます」と私たちは食べ始める。

速水さんは私が作ったハンバーグから、私は彼が作ってくれた枝豆から手をつけた。

優しいよね、速水さんのこういうとこ。
だって私、知ってるもの。彼、本当はメインを食べる前に、枝豆を最初に食べてしまいたい派だってこと。

「うまい。」
 彼は白いほかほかのご飯と一緒に、ハンバーグの一片を口に放り込んで言う。

「よかった。」
 何回も作ってるハンバーグだから大丈夫だとは思ったけれど、そう言って貰えて100パーセント安心できた。

「枝豆も、おいしいですね!
硬さがちょうどいいです、塩加減も!」
 私はパクパクと口に運ぶ。

「リスみたいになってるぞ。」
 速水さんはぷくっと私の真似をして、頬を膨らませて見せた。

でもいんだ。

「美味しんですもん。」
 彼の手作りを食べれたってことが嬉しんだよ、私。もちろん、ハンバーグを食べてくれたっていう嬉しさもあるけどさ。

「あ、お酒。」

「え?」
 私はごくんと枝豆を飲み込む。

「肝心のお酒忘れてる。」
 彼は立ち上がって冷蔵庫の方に向かった。

「あぁ、本当だ。」
 すっかり忘れてた、飲みが本来の目的だってのに。

「コップ出しますか?」

「ん、そうだね。」
 水きりカゴに出ていたコップを私は手に取ってテーブルに並べた。

「どっち最初飲む?」

「じゃぁ、グレープフルーツいただけますか?」

「いいよ。」
 彼から私はチューハイを受け取る。