意地悪な片思い


「もう作りますね。」
 そうしている内も、ドキドキ鳴る心臓はいちいちうるさい。やけに緊張しちゃうのは、絶対心臓のせいだ。

「ご飯はあるから。」

「じゃぁ作るのは、ハンバーグだけですね。」

「うん、お願い。俺は枝豆ゆがくから。」
 私は頷く。

「あ、俺着替えだけしてきてもいい?スーツ脱ぎたい。」

「どうぞどうぞ、お好きに。」
 変に硬い返事をしてしまった私に、なんだそれ?と言いたげに彼は笑って寝室の方へ消えた。

いろんな邪念を覆い払うように私は料理を始める。

「玉ねぎはどこにありましたっけ?」

「炊飯器の下の籠。」

「あーありました。」
 3玉あるうちの1玉を取り上げた。

「ちゃんとわかった?」
 玉ねぎの場所を答えてくれた時よりもクリアにそう声が聞こえる。

速水さんが部屋着に着替え終わって、寝室から出てきてたからだ。スーツとは真反対の緩い灰色の無地のTシャツを身にまとってる。

男の人ってどうしてこんな着替えるの早いんだろうな。

私服の速水さんに免疫がない私は、「分かりました」とまたドキドキしながら答えた。