意地悪な片思い


「お疲れ様です。」
 私は失礼しますと助手席に乗った。

 速水さんの車に乗るのが3度目の今日、当たり前みたいに助手席のドアを開けた私はすごい。
たぶん、電話のおかげ。私と速水さんの心の距離を知らない内に近づけてくれてる。

「お疲れさま。海辺のバーでいい?今日も。」

「はい。」
 最初飲みに行った時と同じところだ。前行ったときは冬だったから海の香りしか楽しめなかったけれど、夏場はやっぱり海辺を歩けたりもするのかなぁ。

「あ、でも。」

「なに?」
 速水さんは車線に戻ろうと指示器を右に出す。

「速水さんそしたら飲めないですよね。」

「んーまぁいいからいいから。」
 気にするなとばかりに彼は微笑む。

だけど速水さんと飲みに行った3分の2も彼が飲めてないってのは、申し訳なさすぎる。おまけに送っていってもらうわけだし……。

なにかいい方法ないかな。


「あ。」

「ん?今度はなにを思いついたの?」
 少しからかい口調で彼は言った。

「あの、速水さんがもしよかったらなんですけど……」

「うん。」

「お邪魔できませんか。


速水さん家に。」
 ぽつりと私は声に出した。