意地悪な片思い


 一週間を終えて、私は彼と約束した通り電話をかける。

メモは用意していない、この間そうして準備したって無駄だって分かったから。彼に振り回されちゃうのが、私たちの感じなんだもん。

週末っていったって、土曜日だけど……いいかな。この間電話をしたときより1日早い今日。理由なんて、簡単。

彼の声をただ、聞きたい。


だけどなぁ、「土曜だよ今日」なんて彼にからかわれちゃいそうだしな。まぁ、なんとかなるか。
えいっと、私は通話ボタンを押した。


 プルルルルル―――押したと同時にコール音が響き始める。

 待っている間、テレビで時間を再確認して切ボタンを押した。21時前、時刻は先週と同じ。お風呂を済ませてるのも同じ。
速水さんがちょうど今、お風呂に入ってるなんてことじゃないといいけど…、

「もしもし。」
 なんて、無駄な心配だったみたいだ。

「速水さん?」

「…うん。」
 なぜか彼にクスッと早い段階で笑われてしまう。

「なんで笑うんですか?」

「そんなに電話したかったのかな~って思って。土曜日だよ、今日。」
 だって、声聞きたかったんだもん。
予想していた通りのからかいに、私は心内で本音をつぶやく。

「お風呂済ませましたか。」 
 誤魔化すように私は違う話題を出した。

「済ませてるよ。」
 素直に答えてくれる彼。

なんだ、じゃぁ速水さんだって、

「土曜日なのに私の電話、待ってたんじゃないですか。」
 からかわれてばっかりだからお返しだ!

「うん、待ってた。」

「え?」

「何、え?って。」
 いや、そんな素直に言われると……

「逆に困ってんの?」
 速水さんの言葉に私はうんって返事した。

「ハハハ。俺をからかおうだなんて10年早いよ。」
 意地悪く彼が笑う。

「どうせ一生適わないですよ。」
 べーって舌を出したい気分だ。