意地悪な片思い


「何年か付き合って、ふられて別れても好きだった人がいるのね。」

「うん。」

「初めての失恋ってすごい辛いじゃないですか…。私もすごい落ち込んで、もう恋なんてしないやーって本気で思って。」

「分かるよ。」
 彼は優しく言葉を落とす。

「私しょうがない奴だから、復縁せがんだりしてたんですけど、やっぱり無理って言われちゃって。あははは。」
 必死だったなぁ、あの時は。

「それから、友達と遊ぶことに専念して半年ぐらい経って、やっと落ち着いてきたってぐらいに、彼から連絡がきたんですよ。」

「うん。」

「普通に文面で何回かやり取りして、私、もう平気だなってその時確信できたんですけどね。

でも…」

「…なんか言われたの?」

「すっごいすっごい好きだったんです。

まだ結婚も現実的じゃない歳でしたけど、彼が幼馴染だってことも重なって、思い出がたくさんあって。」

「うん、十分伝わってるから。大丈夫だよ。」
 私の胸にあの時の思いがこみ上げてくる。

世界で一番大切だって思える人だった、初めて本音で話せたって思えた人だった。この人のそばにずっといたいって―――


「そんな大好きだった人に、その連絡がきた時、」

「うん。」

「……体だけの関係にならない?って言われちゃったんです。」

「まぁ要するにセフレなんですけど。」
 ははははと思わず苦笑した。

「それまじ?」
 尋ね返してきた彼に私は、本当ですよと笑い返す。