「…うん。」
浮気か……
こういうとき、なんて言ってあげたらいんだろう。経験がないからうまく答えられない。
浮気の話を聞くのは何も初めてじゃないし、浮気されてた友達の話を聞いてあげたこともある。けど、聞くのと体験するのじゃえらい違いだもの。
私、あの時なんて相づちうったんだっけな……ううん違うか、たぶん今みたいにもどかしい思いをして、大して良い言葉かけてあげられなかったんだろうな。
「ってなんかごめん、重いね。」
誤魔化すように彼が笑った。
「ううん、そんなことないですよ。」
すぐにそう私は返事する。
速水さんに限っては、結婚まで意識してた人。
裏切られたショックは相当なはずだ。
正直、浮気ってされた側も問題あるのかもって思ってた部分が少しはあったんだよね。速水さんの彼女さんが寂しかったって、浮気の理由を挙げたみたいに。
でもどんな理由であれ、浮気されたっていう事実に変わりなくて、
裏切られたって傷も深く残って。
速水さんに限っては、幼少期から寂しい思いをしてたんだ。私が教えてもらってるぐらいなんだから、彼女も知ってたはず。
なのに、それなのに。それを知っててなんで浮気できたんだろう。
結婚に対する彼の考え方だって聞いてたはずじゃない。浮気なんて手段を用いなくても、寂しいって訴える方法はあるもの。
速水さんが好きになった人だから、
なるべく悪くは言いたくないけれど……ひどいよ。
「速水さん、話してくれてありがとう。」
何となく敬語を私は外した。
礼儀であるはずの敬語が、この時ばかりは不適切だって思ったから。
「でも速水さん、浮気されてたのによく私のこと……すきになれましたね。
怖くなかったんですか。」
「市田は市田じゃん。それに、顔に私は純粋ですって書いてあるしね。」
クスッと彼が笑う。
私は私か。
なんかそう言われるとキツイなぁ。私はまだ男の人が全員そうじゃないって、割り切れない部分もあるから…
「私ね。」
「うん。」
速水さんなら、話してもいいかな。


