「同棲いいと思う、悪いと思う?」
「んー、」
そうだなぁ…
「まぁお互いを知るチャンスですからね。合うあわないを分からせてくれるというか。
…でも、価値観とか生活スタイルとか合わなかったときショック大きいですよね。好きだからって、どうにかなるものじゃないんだろうって思いますから…。」
「だよね。」
ピーピー音を立てながら速水さんはバックで駐車し始める。
「でも、羨ましいですね…。」
「同棲?」
私はこくんと頷く。
「同棲してたって付き合ってたって、結婚に繋がるとは限らないですけど……やっぱり羨ましいなぁ。」
私はぎゅっと鞄を握りしめた。
「結婚したいの?」
「んー、微妙に違うかもしれないです。
どちらかというと、結婚して終わらないことに安心したいというか。けど、昨今は離婚も身近なものになっちゃいましたから、結婚しても不安なままなんですかね。
…よくわかんないですね。」
私は自嘲気味に笑う。
「あっ忘れてくださいね、こんな独り言。」
何でこんなに話しちゃったんだろ、重いなって引かれるに決まってるじゃんか。
前、今みたいに車内で話してた時は、私変にどきどきしてたし、狭いところにふたりっきりってだけでこんなにも狂わせられるものなのかな。
「じゃぁ今日はありがとうございました。」
また変なことしでかさないうちに、お暇しよう。
「週末、電話させていただきます。」
シートベルトを外して外に出ようとする。
「じゃぁ結婚する?」
「へ?」
外したシートベルトがガタンと車に当たった。


