と、そんな感じでふたり切りで飲んだってのに、その後も終始からかわれるだけで何もなく…。
進展できなかった一番の原因は、間違いなく彼に聞いちゃった「キス魔」ってヤツのせい。
「え、う、嘘ですよね!?」
「嘘だと思うなら、酔わせてみれば?マスターもう一杯。」
「だ、だめですよ!え!?え!?」
なんて流れを何度もして、そのたび彼との押収でてんてこ舞い。
まぁ元をたどれば、キス魔って聞く前に絶好のタイミングで好きと言えなかった私が悪いんだけど…。
「お店の人に聞かれるのが嫌で言えなかったねぇ。」
「な、何よ。」
恥ずかしいので、大部速水さんとの会話は端折って彼女に伝えた。最後のキス魔って言われたところなんてもっての外。
「もうバーなんてねぇ、そんなこと日常茶飯事なんだから。マスターだって慣れっこよ。
気にすることじゃないのにー。」
「恥ずかしいじゃんか。」
どうせ私が悪いですよ、分かってますよ。
「なんかあれだね、みのり。」
「何よ。」
「速水さんと付き合ったとしてもさ」
「だから何?」
彼女が呆れ声でつぶやく。
「エッチどころかキスにすらすごい時間がかかりそう。」
「は、はぁ!?な、なによ、そんな急に。」
え、えっちとか!
「だってそうなんだもん。」
どうしたもんかねーと、遥の呟きが耳から聞こえてくる。
でも、ごめん遥。…キスはしちゃったんだよ。そのこと伝えたら、尚更呆れられそうで言えてないけどさ。
「キスしちゃったらいいんだよ、そしたら好きって言わなくたって伝わるもんなんだから。」
「いやいやいや…。」
したけど伝わり切れてないから、今ずるずる変な間が速水さんと続いているわけで…
というかキスの方がハードル高いよ。自分から何て無謀…。


