「私も気になっちゃうなぁ、
市田さんどんな人が好きなんだろう。」
木野さんがにこにこと笑顔を浮かべる。
そんな風にけしかけちゃわないで、木野さんでもいいから助けてよ!
「この間市田さん抜きで飲んだ時も、そういう話してたんですよ。
木野さんはまぁ当然速水先輩だったんですけどね。」
私が仕事忙しくて行けなかったときそんな話もしてたんだ。
ある意味木野さんの素直さが羨ましいよ。爪の垢を煎じて飲ませてもらおうか。
「速水さん人気なことぐらい、うちの会社の女のコだったら知ってるよね。」
木野さんの同意を求めた言葉に、私はそうですねと速水さんをちらりと覗きながら頷く。
彼は少しだけ口の端をゆがめてた。私がどうするか高みの見物らしい。
こういうところ本当優しくない、助けてくれたっていいじゃんかや。
って、ここで速水さんって答えたらどうなるんだろう。
好き…って言ったことになるのかな。
でもうーん、タイプはなぁ……。好き、だけどタイプは。
「じゃぁ!逆に内川くんは誰がタイプなの?」
「え、俺ですか?」
突如私がした切り返しに内川くんが目を丸くしてる。
「市田さんそれ面白いですねー。内川くんどうなの?」
木野さんも面白そうに内川くんの右腕をつんつんとつついた。
この分だと私が答えれることは回避できそうだ。突発ながらにした切り返しにしては、我ながら上出来。


