「木野さん、
たまには俺の方も気にしてくれませんか?」
内川くんが苦い顔をしながら声をかけた。
「気にしてるよ、ほら、これ食べて。」
「それもう空です。」
彼女が差し出した料理のお皿は、もう空っぽ。
「あはっ。」
誤魔化すように、木野さんは別の料理が乗ったお皿を彼の方へ差し出した。
「内川諦めろ。木野さんは速水さんがタイプなんだから。」
長嶋さんが笑いながら内川くんにお酒を進める。
「どうせモテませんよ、速水先輩みたいに。」
内川くんは拗ねたみたいでグラスに入ってたお酒を飲み干した。
「すみません、ビールもう一杯お願いします。」
近くを通った店員さんに追加注文を彼はする。
しかしなんだろう。前にもこういう流れがあったような、恋愛が絡んだ空気というか。初めて4人で飲んだ時だったっけ、内川くんが確か話題振ってきたんだよな。
その時と同じような空気、
何となく嫌な予感がする。
「市田さんは、社内だと誰がタイプですか?」
あぁやっぱり当たってしまった。野生の勘ってやつは大抵当たってしまうんだ。
「えー?どうかな?」
それこそ長嶋さんに先ほどこぼした愛想笑いとは比べ物にならないほど、私は愛想笑いをする。
長嶋さん今回も助けてと、心内でひそかに私は嘆いていた。


