意地悪な片思い


 5人で飲むことになると分かったのは、夕方の会社でコピー機を稼働させてた私に、速水さんが近づいてきたとき。

只でさえ他社員さんにも見られるような状況であるメインルームで、彼が話しかけてくるなんて珍しいのに、追加して彼は申し訳なさそうな面持だった。


「ごめん市田。」

「あぁ速水さんお疲れ様です。
どうかしたですか?」
 何か問題があったのだとすぐに分かったけれど、まさかそれが付箋の内容のことだとは、このときの私は思わない。


 速水さんはもう少し私に近づくと、小声で言葉を発した。

「内川に捕まっちまって、何やかんやで今日の飲みアイツも来ることになって。
この間の風邪で休んだ時のお礼とか何とかでこぎ着けてこられてさ…。」

「あ…そうでしたか。」
 コピー機の動きが突如止まる。

最近調子がおかしいって長嶋さんから聞いてたけど、自分が使用しているときに動きが鈍くなるのは初めてのことだった。


「で、木野もなんか行くって言い始めて。」
 え、木野さん!?

「じゃぁ私行かない方が…」

「いや、内川に市田と飲むってもうばれちまってるから。」

えぇ!内川くんと何やかんやあったっていったけど、何やかんやが一番すごそうじゃないですか。


――――っていう、そんなこんなで2人で飲めなくなっちゃったから、私も長嶋さんを急きょ「飲み会来られませんか」ってお誘いしたんだよね。

本当よかったよ、長嶋さんが残業とか仕事が終わった後もご予定がなくて。

速水さん達といっても、長嶋さん抜きで、隣の部署の3人と飲める私じゃないから。
話の内容入れなくなっちゃいそうだし。

 私はごくんとお酒を飲んだ。