給湯室の扉を開け、冷蔵庫前へ歩み寄り中を開けると、確かにふたつ茶色い紙袋が置かれていた。
一番下の段の、結構奥深いところ。手前に置かれていなかったあたり、彼の今日の出勤が早かったことを物語ってる。
尚更貰うの、気が引けちゃうよ。
少しためらいがちに袋を手に取った。
どっちが私のだろう。
この間みたく付箋が貼られていないかとぐるりと一周させてみるも、今日のにはそれがない。
仕方なしに中を覗いてみると、『市田』そう書かれた付箋が一方の内部に貼ってあった。いつものように薄黄色の付箋でね。
長嶋さんの方を開けずに済んだから運がよかったと少し安堵しながら、現在給湯室に誰もいないことをいいことに、私は大っぴらに付箋を手に取る。
「ん?」
てっきり一枚だと思っていたのに、貼られていた薄黄色の付箋は2枚。
慌ててて、間違えて重ねて貼っちゃったのかなと、市田と書かれた付箋を一枚剥ぎとり下の付箋を露わにさせた。
2枚目の付箋にもちゃんと数文字、言葉が羅列してある。
速水さんに限ってそんなミス、しかも私に、するわけないか。
私は思わず笑いをこぼす。
だけど、
「…長嶋さんが間違えてこれ手に取っちゃってたら、どうするつもりだったんですか。」
って私は彼の行動にむくれもした。


